1.試験装置の製作 申請者の研究室においては広巾試験床を用いて実験を行なうことのできる装置を所有していなかったため、申請書の研究計画にもとづいて、まず大形の試験装置の製作を行った。本研究の特色は繰返し荷重を作用させている状況のもとで延性不安定破壊を発生させることにあるので、予算額内で製作可能な、静的最大引張荷重200トン、繰返し最大引張荷重150トンの装置を製作した。 間隔70cmの4本の柱によって両側のヘッドを支持する横置型の装置であって、ヘッドの間隔は約2mである。床側のヘッドにオイルシリンダーが固定されている。試験床の装着はホークとピンとによって行なう構造を採用し、ピン間隔は1mとした。 2.試験床 ピン間隔1mの大形試験床2個と、補助治具を用いてピン間隔を60cmとした中形試験床8個を製作した。後者は試験床の取付、取はずしを容易とし、また試験床個数の増大を考えてのものである。 3.実験 ポンプの騒音が予想したより大きく、高荷重による本格的な実験は次年度に防音装置を製作し、その後とすることにした。低荷重で行った小形試験床による予備実験の結果から、表面き壊が枝厚を貫通し、さらに拡大してゆく状况を十分に観察しまた測定できることがわかった。 4.大形計算機による解析 繰返し荷重のもとでき裂が拡大し、枝厚を貫通する状况を有限要素法を用いて検討した。また不安定破壊を起こす条件をき裂先端の開口角度を用いて解析する方法について検討を加えた。
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