1.62年度までの実験結果にもとづき、直線型乱流加熱装置中に発生するダブルレイヤー(DL)の崩壊過程に関する物理機構のモデルを考案した。これは、DLを流れるイオン電流によってDLの陽極領域のイオンが陰極側に移動し、それに伴い電子の分布が再配分され、DLの陰極側と陽極側の密度のアンバランスが生じ、DLが陽極側に押され崩壊するというモデルである。 2.このモデルを検証するのに適した実験およびシミュレーションを再度実施した。即ち、シミュレーションでは「イオンは陽極から供給されない」という境界条件を新たに導入した。また実験では電極間の距離を変化させ、DLと陽極間の距離に対するDLの寿命の依存性を調べた。 3.再実験ではDLの寿命はDLと陽極間の距離に比例することが観測された。また再シミュレーションでは陰極側と陽極側にプラズマ密度差が発生し、DLが陽極側に押されて崩壊することが観測された。これらの結果は提案モデルの妥当性を支持する。特に再シミュレーションにおけるDLの崩壊は今回初めて観測されたものである。 4.4年間に亘って実施された本研究の成果を55頁の研究成果報告書にまとめた。 5.現在、シミュレーションでしか確認されていない密度差の発生を、実際に測定することが今後の課題として残されている。
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