研究課題/領域番号 |
60420053
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石野 栞 東大, 工学部, 教授 (70010733)
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研究分担者 |
関村 直人 東京大学, 工学部, 講師 (10183055)
高橋 直明 東京大学, 工学部, 助手 (80010966)
岩田 修一 東京大学, 工学部, 助教授 (50124665)
河西 寛 東京大学, 工学部, 助手 (40010970)
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キーワード | イオン照射 / 新物質合成 / 析出物 / ボイド / 時効効果 |
研究概要 |
本年度は照射による合金材料のミクロ組成変化と析出物について詳細な実験を行なうとともに、その深さ分布を明らかにすることによってイオンビームを用いた材料改質・新物質合成のための基礎的過程を明らかにした。 1.オーステナイト鋼のイオン注入による析出物生成 Fe-15Cr-16Ni合金に対して種々のイオンを照射し、ミクロ組織変化と析出物の関連について検討した。400KeVリンイオンを高温で照射すると【M_2】P型析出物が高密度に生成し、アルミニウムイオン照射と比較してボイドの密度と径は抑制されることがわかった。イオン入射面からのボイド深さ分布を比べるとリンイオンの場合は飛程付近では析出物によってボイド密度が著しく抑制されているなど、注入イオン種による影響を明らかにした。 2.イオン照射によるミクロ組成変化の深さ分布 3MeVイオン照射下の結晶粒界への元素の偏析は、ボイド密度・径ともに小さいイオン入射表面付近のほうが損傷ピークより大きくなる傾向が明らかにされた。またこの場合は400keVイオンに比べボイドが成長しており、注入イオンは過剰な格子間原子として空孔型の欠陥クラスターに影響を及ぼす。今後は、以上の結果を基礎とし、望ましい物質合成のためのイオン照射条件導出を検討できるような計算モデル作成が必要となろう。 3.析出物生成に対する照射効果と時効材との比較 チタン添加オーステナイト鋼の0.4dpa中性子照射材(600゜C)では【M_6】C型析出物が観られたが、同条件での時効材では検出されず、照射下での析出促進がおこっていることが結論づけられた。これに対して照射材中の微細なMC型析出物は主として長時間時効効果により生成することが明らかにされるなど、照射効果と熱的効果を分離することができた。
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