研究概要 |
今年度はジメチルオレイルアミンオキシドの水溶液について光散乱の測定を行い、HClが0,【10^(-4)】および【10^(-3)】N,NaClが0〜0.05M存在するとき、ミセルの大きさと形およびミセル間相互作用について研究した。臨界ミセル濃度は非常に低く、3〜4.5×【10^(-5)】g【cm^(-1)】であった。ミセル溶液の滴定曲線から、みかけのpKとして3.70〜4.55を得、さらに固有のpKとして5.44から5.91を導いた。こうしてミセルは水中では非イオン、【10^(-3)】NH【Cl_2】の存在では大体半分程度プロトン化していることを知った。 ミセル溶液の光散乱の角度は非常に複雑で、NaCl濃度が高いときは正常な内部干渉効果のみを示すが、NaCl濃度が低いときには、外部干渉効果が重なって現れる。光散乱の還元速度が【10^(-4)】【cm^(-1)】を境として、それより弱いときには、外部干渉効果が内部干渉効果より速く現れ、逆にそれより強いときには、内部干渉効果が外部干渉効果に打克つてそれを薮ってしまうことが分った。 0.05MNaClの存在では、角度分布は正常で、水中では分子量 6.90×【10^6】、慣性半径1.270Aの棒状ミセル、【10^(-4)】NHCl中では分子量7.58×【10^6】、慣性半径1410Aの棒状ミセルを与える。 【10^(-3)】WHCl中では液々分離が起る。 0.01MNaClの存在では、水および【10^(-4)】NHCl中で(4.76〜5.00)×【10^6】の分子量、慣性半径1120Aの棒状ミセルを与えるが、【10^(-3)】NHCl中では分子量が18.00×【10^6】、慣性半径2100Aの棒状ミセルを与える。このことは棒状ミセルの安定化にアミンオキシドとN-ヒドロキシアンモニウムとの間の水素結合が寄与していること、さらにそれがNaClの存在で促進されることを意味している。また、これらの棒状ミセルの分子量と慣性半径との間に必ずしも相関がないことから、棒状ミセルは屈曲性であると接論される。
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