研究概要 |
塩化セチルトリメチルアンモニウムの塩化ナトリウム水溶液について光散乱を測定し、種々の塩濃度においてミセル分子量をきめた。その結果、塩濃度が1.18M以下のときには、臨界ミセル濃度以上で球状ミセルができ、塩濃度が1.18Mを越えると、臨界ミセル濃度で球状ミセルができ、それ以上ではミセル濃度の増加と共に、棒状ミセルができ、その割が増すことが分った。球状ミセルの分子量は、無塩系のとき、25,800で、球・棒転移の閥値塩濃度1.18Mで、37,000となり、分子量とイオン強度の二重対数関係は直線になる。棒状ミセルの分子量は1.18Mから4.00Mまでの塩化ナトリウムに対して、37,000から3,660,000に及び、分子量とイオン強度の二重対数関係は直線になる。なお、球状ミセルの水溶液のデバイプロットは、他のハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウムの場合と同様に、0.9gdl^<-1>附近で緩かに曲って連接する2本の直線で表わされる。 塩化ドデシルジメチルアンモニウムのミセルは、塩化ナトリウム水溶液中で、塩濃度が0.80Mを閥値として球・棒転移をする。このミセルの超遠心沈降は、塩濃度が0.1および0.3Mのときには対称なガウス型のシュリーレン図形を示すが、1.0M以上では前面が鋭く、後面に裾を引く非対称な図形を示す。前者は球状ミセルの沈降に対応し、低い沈降係数をもつ。拡散と濃度依存性を無視したラムの沈降方程式の近似解により、後者は球状ミセルと棒状ミセルの沈降係数の重量平均に等しい沈降係数を与えることが分った。 臭化ドデシルトリメチルアンモニウムの臭化ナトリウム水溶液について超音波速度を測り、ミセルのみかけの断熱圧縮率が1.6M臭化ナトリウムより急増することを見出し、ミセルの球・棒転移は臭化ドデシルトリメチルアンモニウムの脱水和を伴うと結論された。
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