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1986 年度 実績報告書

電子スペクトルによる回転異性体の研究

研究課題

研究課題/領域番号 60430004
研究機関東北大学

研究代表者

伊藤 光男  東北大, 理学部, 教授 (20013469)

研究分担者 藤井 正明  東北大学, 理学部, 助手 (60181319)
三上 直彦  東北大学, 理学部, 助教授 (70004447)
キーワード回転異性体 / 選択的反応性 / レーザー分子分光 / 電子スペクトル
研究概要

前年度までの研究で、ベンゼン誘導体をはじめとする複雑な多原子分子の回転異性体が、超音速ジェットレーザー分子分光法を利用した電子スペクトルで容易に分離、同定することができ、電子励起エネルギー,イオン化ポテンシャルが回転異性体間で大きく異なることを示した。
本年度はさらに研究を発展し、回転異性体の反応選択性について研究し注目すべき結果を得た。ジメトオキシベンゼンのシス体,トランス体のそれぞれについて、超音速ジェット中で各種溶媒分子との間にファン・デル・ワールス錯体の生成を試みた。その結果、シス体は有極性溶媒分子と錯体をつくるが、トランス体は錯体を生成しない事が明らかとなった。この結果は回転異性体の選択的反応性をはじめて明らかにしたもので、その意義は極めて大きい。
さらに、メタ-クレゾールについてOH基の配向によるシス体,トランス体を電子スペクトルで分離、同定し、各異性体の基底電子状態,励起電子状態イオン状態について詳しい研究を行った。その結果、両異性体とも【CH_3】基の内部回転ポテンシァルが状態により大きく変化する事を見出した。すなわち、基底電子状態では【CH_3】基の内部回転障壁は20【cm^(-1)】程度と小さいが、励起電子状態及びイオン状態では200〜300【cm^(-1)】と大きくなる事が分った。これは【CH_3】基の超共軛が電子励起に伴って著るしい増加を示すものであり、分子の反応性に及ぼす超共軛効果の役割を理解するうえで極めて重要な結果と言える。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Seiji Yamamoto: Chemical Physics Letters. 125. 1-4 (1986)

  • [文献書誌] Toshinori Suzuki: Chemical Physics Letters. 127. 292-296 (1986)

  • [文献書誌] Akira Goto: The Journal of Physical Chemistry. 90. 2370-2374 (1986)

  • [文献書誌] Katsuhiko Okuyama: The Journal of Physical Chemistry. 90. 3948-3952 (1986)

  • [文献書誌] Toshinori Suzuki: The Journal of Physical Chemistry. 90. 6431-6440 (1986)

  • [文献書誌] Mitsuo Ito.Edited by James R.Durig: "Vibrational Spectra and Structure" Elsevier, 512 (1986)

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公開日: 1988-11-09   更新日: 2016-04-21  

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