研究概要 |
当初の予定では周波数高安定化【CO_2】レーザーを2台ならびに、マイクロ波源を設置し、2ケのレーザー出力およびマイクロ波を非線型素子(MIMダイオード)で混合し、周波数可変遠赤外光を取り出す予定であったが、研究グループとしてスタートの年でもあったためもあり、必要最小限のマイクロ波源、周波数測定装置、放電装置の設置ならびに【CO_2】レーザー1台の自作に留まった。2台目の【CO_2】レーザーの製作ならびに遠赤外光の発生は経常校費を用いて62年度以降になる。一方、マイクロ波源、周波数測定装置、放電装置を利用して、高感度ミリ波サブミリ波分光器にまとめ、これを用いて分子イオン短寿命分子ならびに星間分子の分光もおこなった。以下に得られた成果をまとめる。1).準安定電子励起状態にある分子の検出。電子励起状態にある分子の純回転スペクトルを観測した例は今まで2,3例しかない。NF(【a^1】Δ)(Te=12,000【cm^(-1)】を効率良く生成する方法を見出し、その回転スペクトルを初めて検出し、詳細な分子定数を明らかにした。2).分子イオンの検出。【HBF^+】,【H_3S^+】【H_2Cl^+】の純回転スペクトルを初めて検出し、それぞれの分子定数を精密に決定した。このうち【H_2S^+】は含イオウ星間分子の化学において要と考えられる分子であり、【H_2Cl^+】も星間分子として存在する可能性が大きい。3).未同定量間分子スペクトルの解明。新たなポリイン化合物としてCCSラジカルおよび【C_4】S分子のスペクトルを初めて明らかにした。この結果、野辺山宇宙電波観測所の45m大型電波望遠鏡により今までに検出されていて、未同定であったμ45379を含む7本の未同定線のうち、4本をCCSラジカルに、3本を【C_4】S分子に帰属した。またベル研究所の7mの電波望遠鏡により検出されていた7本の未同定線もCCSに帰属できた。以上の結果、野辺山宇宙電波観測所により検出されていた強い未同定線をすべて解明することができた。
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