研究概要 |
電子欠乏性オレフィン類の反応性に関し、以下の研究をおこなった。 1. 三塩化チタンによる電子欠乏性オレフィンの還元反応。三塩化チタンよりの電子移動と、それに引き続くプロトン化、二量化、環化反応等による生成物分布、反応機構の検討をおこなった。 a)ニトロオレフィンの反応。各種ニトロオレフィンの三塩化チタンによる中性條件下の還元反応を研究し、従来より類似反応系にあって生成することが知られているカルボニル化合物およびオキシム以外にピロールおよびジビニルアミンが生成することを発見し、その生成の最適條件と反応機構を決定した。本反応は、ピロール類の簡便な合成反応として利用できる。また、関連して、ニトロオレフィンの四塩化チタン存在下における電解還元反応によって、ニトリルが生成することを見出した。 b)シアノオレフィンの反応。1,1-および1,2-シアノオレフィンは、同様條件下に単純なヒドロニ量化生成物以外に5員環エナミノニトリル、ヒドロフランなどを生成することを見出した。また、関連して、本反応系がケトンを第二級アルコールに還元することを見し、従来の酸性條件下におけるピナコール生成系と異なることを見出した。 c)ニトロシアノオレフィンの反応。ニトロシアノオレフィンは、同様條件下にシアノエナミンとイソオキサゾールとを生成することを発見した。両反応ともに、合成化学的に注目されるものである。 2.トリフルオロアセチルオレフィンの反応性。各種トリフルオロアセチルオレフィンと求核試薬との反応により、ジアシルエナミン、ピラゾール、ジヒドロピラン等の興味ある化合物が容易に合成できることを見出した。
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