研究概要 |
1.ジャガイモシスト線虫について。1)生物検定法:過年度までの方法にpH調整を加えることにより、再現性、定量性の測定法が確立した。 2)粗原料:原料としての入手の容易さ、保存性、含まれる活性物質の安定性を考慮して、主としてトマト乾燥根の活性物質について研究を行った。水抽出液を炭酸酸性下アンバーライトXAD-2樹脂吸着、アセトン脱着、30℃以下で濃縮、酢酸エチル-水分配により、乾燥根1kg当り約1gの割合で水溶性粗抽出物を得ることができた。 このものは、pH調整を加えたふ化率測定法において、【10^(-5)】g/mlの濃度で比較的安定な活性を示した。 3)失活原因と化学的性質:トマト乾燥根から得られる活性物質は、極めて水に溶けやすい。 pH8以上で速やかに、pH2以下では漸次失活する。以前に、活性物質の分離・精製を進めた際、【10^(-7)】g/mlのオーダーより、見かけ上活性値が上昇しなくなったが、生物検定の際、pHを3.5付近に調整することにより、解決することができた。 4)分離・精製:粗抽出物をXAD-2樹脂,セファデックスG-15,G-10,トヨパールHw-40C,Hw-40sによるゲルクロマトグラフィーと逆相系高速液体クロマトグラフィーに付し、分離・精製を行い、活性値を【10^(-9)】g/ml以上に上昇させた。 今後数10倍にスケールアップする予定である。 2.ダイズシスト線虫について。 生薬トラガントより得られるトリテルペン、シクロアストラガロールを化学変換、及び生合成研究の出発物質として用い、13位,14位のメチル基をグリシノエクレピンAタイプへ転位させることができた。('86年日本化学会春季年会発表・京都)。
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