研究概要 |
1.「自然分晶の3成分系」については【〔Co(ox)(en)_2〕^+】の合成・光学分割を行い、Λ体とラセミ体をブタンジカルボン酸もしくはその誘導体の塩として単離した。ブタンジカルボン酸塩錯体は、Λ体が酸性塩、ラセミ体が正塩として単離された。Λ体とラセミ体で同じ塩ができず、従って2成分溶解度は測定したが、3成分系は測定することが出来なかった。正塩のラセミ体は自然分晶しておらず、Λ体の正塩が合成でキナイノト対応する。誘導体のうちメソジブロムコハク酸塩は、陰又、メソ酒石酸塩は正塩としてrac-〔Co(ox)【(en)_2】〕【(meso-tart)_(1/2)】-2【H_2】OとΛ-〔Co(ox)【(en)_2】〕【(meso-tart)_(1/2)】・3【H_2】Oのペアが合成できた。2成分溶解度はラセミ体がΛ体にくらべて、はるかに難溶であり自然分晶しなかった。3成分溶解度相図は検討中である。 2.「ジアステレオマーとして分子化合物を生成する4成分系」については〔Co【{S(0)CH_2CH_2NH_2}_3】〕の多くの異性体のうちΛ-(R,R,R)-およびΔ-(S,S,S)-体を多量に得るため、合成・分割法を改良している。 3.被分割錯体と同種の荷電を有する光学活性錯体(chiral additive)を用いる光学分割機構について詳細な実験的検討を行い、〔Co(aet)【(en)_2】〕【(ClO_4)_2】をはじめ多くのCo(【III】)錯体がΔ-またはΛ-〔Co(AB)【(en)_2】〕Xr型chiral additiveにより分割できることが明らかにされた。そのうち〔Co(ox)【(en)_2】〕Clに対してchiral additiveが〔Co(gly)【(en)_2】〕-【Cl_2】の系について溶解度測定を行い、準安定状態である様々な過飽和溶液からchiral additiveによって〔Co(ox)【(en)_2】〕Clがどのように分割されるか、又その収率と得られた光学活性体の光学純度との関係や、過飽和度への依存性がくわしく調べられ、これらの系の分割機構の主要点が明らかとなった。
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