研究概要 |
今年度に行なった研究によって得られた新らたな知見・成果. 1.2次イオン質量分析装置に取り付けた1次イオンビーム質量分析装置の調整が完了し,ビームの安定性(1%/分),分解能(M/ΔM=100〜300),収束性(最小1um)を達成した. 2.鉱物・岩石中の全元素の存在状態とその挙動の過程を分析するために開発した二次イオン質量分析法の新らしい分析法の総説を発表した. 3.マントルの加水溶融により形成されるマグマから固体が晶出するとき,元素が如何に分別されるかを研究し発表した, それによると全ての元素は固体の結晶構造に支配されて個体とマグク間で分配される. 4.石英中の水素の挙動は,変成作用時の岩石の流動を支配するといわれている. この命題を分析化学的に明らかにするため,本課題で改良された2次イオン質量分析装置を使用して,石英中の水素の分析法の確立を試みた. 結果は,直径1umの領域において,0.5ppm以上存在する水素の定量分析が可能になった. 現在この分析法を用いて,天然の石英中の微細組織中により記録されている流動と水素の関連性を解明しつつある. 5.酸素は鉱物・岩石中の骨組をつくる最も多量に存在する軽元素である. 従って酸素は,鉱物の流動・再平衡・再結晶等全ての動的挙動に伴い共に行動する. 本研究ではメリテイト中の酸素の動きやすさを決定するためにその拡散係数を測定した. メリライトではa軸に沿う拡散がC軸に沿うものより約5倍早く,転位に沿う拡散は格子中の拡散より3桁速い. この結果は原始太陽系星雲形成初期の歴史を決定する第一級制限条件になると考えられるため現在解析中である.
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