研究概要 |
最終年度の63年度においては、これまでの研究成果を集約して二次イオン質量分析計を用いた無機物質中の水素、ほう素などの軽元素の定量分析法と酸素同位体比分析法、及び稀土類元素を含んだ微量元素の定量分析法の開発に成功し、この手法と深さ方向分析を組合せて無機物質中における微量元素の拡散速度の精密測定、ダイヤモンド中の微量元素の深さ方向分布測定などに応用した。またX線回折による構造解析法により、酸化物超伝導体中の酸素含有量と構造変化を解明した。研究した個々の課題と内容の概略を下に示す。 (1)[SIMSによる石英中の水素の定量分析]一次イオンに^<16>O^-を用いて数ミクロンの微小試料領域からHの定量分析に成功した。検出限界は1ppm。 (2)[転位拡散機構における転位半径の新しい推定法]拡散プロファイルから試料内の転位構造と転位拡散係数を同時に算出する数学的解析法を開発。 (3)[SIMSによる岩石中の微量元素の定量分析]ガラス化した標準岩石試料の軽〜重元素に至る微量元素をSIMSにより定量的に分析する方法を開発。 (4)[ペリクレース(MgO)中の微量元素の拡散(1)]SIMSの深さ方向分析能を応用し、MgOに拡散させた多くの微量元素について拡散プロファイルを測定し、格子拡散と転位拡散速度を同時に精密に測定する事に成功した。 (5)[CVD法で合成したダイアモンド膜中のほう素の深さ分析]気相法で合成されたダイアモンド膜中に分布する微量ほう素の深さ方向プロファイル測定。 (6)[SIMSによる酸素同位体の精密測定法の検討]酸化物中の^<16>O^-,^<17>O^-,^<18>O^-の酸素同位体比を数パーミルの精度で分析する測定法の開発を試みた。 (7)[ガラス物質中の稀土類元素の定量分析法の開発](3)の試料について稀土類元素の定量的分析法の開発に成功した。 (8)[酸化物超伝導体に関する研究]。VBaCuO系とBiCaSrCuO系酸化物超伝導体のX線単結晶構造解析から酸素含有量解析を行なった。
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