Cu【SO_4】水溶液中で定電位、または定電流電解を行ない、得られた電析物をSEM観察した。それらの結果から析出粒子の長軸および短軸を測定することにより、析出粒子の異方性および粒子径を算出し、析出過電圧や電解液組成および電析量の関連性を検討した。析出量が5C以下では基板組織の影響が大きいので20Cおよび100Cの電析量の下で得られた析出形態を電解条件と対応づけた。その結果、(1)析出形態は主として過電圧によって決定され、大きく3種類に分類できること、(2)Cu【SO_4】濃度は大きな影響を与えないが、過剰の【H_2】【SO_4】の添加は過電圧を大きく卑に偏倚させることが認められた。更にこのような陰極表面近傍に形成される濃度境界py内のイオンの移動現象を2波長ホログラフィック干渉計で測定した。過剰の【H_2】【SO_4】を添加した場合には全過電圧に対する濃度過電圧の比が極めて小さくなる。これらの結果から、【H_2】【SO_4】を過剰に添加することにより、3次元核発生速度が大きくなり、それらの成長速度が水溶液中のイオンの移動速度により律速されるため、デンドライトが成長しはじめると考えられる。この推論を更に確認するため、3MAg【NO_3】水溶液中で厚さが60μmのデンドライトを成長させ、デンドライト周囲に形成される【Ag^+】イオンの濃度分布を測定するとともに、成長速度を測定した。これらの解析結果からデンドライトの成長速度は【Ag^+】イオンの電気泳動および拡散によって律速されており、デンドライト先端部の電流密度は平均電流密度の5倍以上にも達することが確認された。またこれらのデンドライトの成長を抑制するためには、パルス電解法が効果的であることがSEM観察の結果から確認された。パルス電解では電流を中断中に金属イオン濃度が回復し、表面濃度を高く保つとが出来るので、析出過電圧を高めることができる。その結果、微細な析出核が多数発生するため、表面形状が大きく改善されると考えられる。
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