研究概要 |
非シリケート酸化物ガラスのガリウム酸塩ガラスの構造をX線構造解析,ラマン分光,密度などの測定に基いて研究した. まず,アルカリガリウム酸塩ガラスおよびアルカリ土類ガリウム酸塩ガラスの代表してそれぞれ30Cs_2O・70Ga_2O_3ガラス及び66.7CaO・33.3Ga_2O_3ガラスを選び,構造を調べた. X線動径分布解析の結果では,GaーO原子間距離はそれぞれ1.87及び1.84で,いずれのガラス中でもGa^<3+>イオンはGaO_4四面体を形成していること,アルカリガリウム酸塩ガラスの構造は対応する組成の結晶の構造とあまり類似していないが,アルカリ土類ガリウム酸塩ガラスの構造は対応する組成の結晶の構造と類似していることを明らかにした. また,ペア関数法により66.7CaO・33.3Ga_2O_3ガラスの構造を詳しく解析し,このガラスの構造はGaO_4四面体の五員環からなる層状構造をもち,GaーOーGa結合角は約120°であると推定できることを示した. つぎに,Ga_2O_3のほかにNb_2O_5を多量に含むアルカリニオブガリウム酸塩ガラスの代表として40Cs_2O・30Nb_2O_5・3OGa_2O_3ガラスを選び,ガラスの構造を調べた. X線動経分布関数のピークから求めたGaーO距離,NbーO距離のデータ,ならびにピークの面積のデータから,このがラス中でGa^<3+>イオンはGaO_4四面体を形成し,Nb^<5+>イオンはNbO_6八面体として存在することを明らかにした. また,Nb^<5+>イオンはNbO_6八面体として存在するが,一部は網目の形成に參加していると推定した. 以上の結果に基いてサッカリアセンのガラス形成理論について検討し,網目形成イオンを含まないガリウム酸塩系で広い組成にわたってガラスが形成されるのはGa^<4+>が4配位をとり,網目形成にあずかるためであるとの結論を得た. 今後アルミネートガラス及びシリケートガラスとの構造比較を行なう予定である.
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