研究概要 |
1. シリカ担持ニッケル系触媒:多孔質シリカを加圧下で水、アルコールで処理したところ、表面積は1/5以下に減少したが、表面の親水性を高めることができた(担体の修飾)。修飾したシリカにニッケルを水溶液から担持すると、微分散し、ベンゼン水素化やエタン水素化分解に高い活性を示すことが分った。また、微量のカルシウムの添加も、ニッケルの分散度と活性に対し同様な効果があった(金属-担体相互作用)。 2. アルミナ担持コバルト・モリブデン系触媒:CoMo触媒の水素化活性に及ぼす流黄の添加効果を実験的に検討した結果、触媒の前処理方法、反応原料の種類に応じて多様な促進効果、抑制効果を見出した。また、流黄添加に伴う金属の原子価、および分散度の変化をESCA,ESR,X線微細構造等による測定に基づいて明らかにした(金属の修飾)。 3. チタニア・アンチモン系センサー材料:センサー材料であるTi【O_2】のTiの一部をSbイオンで置換した系について、固溶条件と固溶限界量を調べ、原子価をESCAにより決定した。その結果、Tiの結合エネルギーは約459eV,Sbのそれは約540eVであり、Tiは四価,Sbは三価状態でルチル型固溶体を形成することが判明した。Sbの固溶によって生じる酸素欠損と電気的性質の関係も明らかにした(担体の修飾)。 4. 酸化ニッケル系電極材料:金電極上にスパッタ法によりNi層をコーティングし、溶融塩中でin situ酸化とLiドーピングを行いNiO層形成とLi化の様子をSEM、ESCAにより検討した(金属の修飾)。 5. 担持モリブデン系触媒材料:アルゴンイオン衝撃とESCAの組合わせにより、担持Mo試料表面におけるMo成分の還元過程を追跡した。担持Mo試料の表面における還元速度は担体の種類に大きく依存し、かつその序列は、既に検討した担持Re系触媒材料の場合とは異なっていた。昇温還元法などを併用して、金属-担体間の相互作用過程の検討を行った(金属-担体相互作用)。
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