研究概要 |
1.硫化処理したコバルトモリブデン(CoMo)触媒の活性に対する助触媒Coおよび共存する硫化水素の効果について検討した. 一酸化窒素を吸着するCo量が多いほど触媒の水素化,脱窒素活性の高いことがわかった. 脱窒素反応に対する気相の硫化水素の促進効果はCoとMoとが共存すると顕著であった. 活性化した触媒の表面構造についてESCAで調べた. 2.焼成処理により表面水酸基量を変化させたシリカを触媒担体として用い,その影響を検討した. Niを水溶液から含浸法で担持させると,担体の単位表面積当りの水酸基量が少ないほど分散度は高く,またベンゼン水素化に高い活性を示すようになることがわかった. これは,Ni前駆体が水酸基密度の小さい表面で微分散し易いためであることがわかった. 3.ラネーニッケル微粒子を各種金属上に分散メッキし,その後ナフィオンコーティングすることにより触媒電極を作成した. この電極はプロトン還元,水素酸化反応に対し高い電極触媒効果を示し,活性の劣化は小さかった. また,ポルフィリンが吸着した炭素微粒子を高温処理し,ナフィオンを用いて成形した電極は,白金に匹敵する高い酸素還元電極触媒効果を示した. 4.優れた強誘電性からセンサーとして工業的にも数多く利用されているBaTiO_3の転移温度や導電性を制御する目的で,Laなどの希土類元素や下を固溶した系について電気的性質に影響する酸素欠損,原子価等はESCAを用いて検討した. その結果,特にO_<IS>のスベクトルが〜530.5eVと〜530.6eVの二つのピークに分かれることを知見し,これと酸素欠損との相関性を議論した. 5.触媒金属と担体間の電子的相互作用をフェルミエッジ付近の価電子帯構送から検討する目的で,オージェ電子分光装置に組み込み可能な走査型トンネル分光装置を試作した. Pt多結晶表面の単原子ステップを解像そ,そのステップでの仕事関数変化を測定した.
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