研究概要 |
各分担課題それぞれ順調に研究が進歩している。MOCVDによるGaAs薄膜合成は、実験と解析とが平行して行われた。特に薄膜成長速度をすでに求められていた熱分解反応速度定数、拡散定数等を境膜理論に用いて解析し、実験と理論予測の大略の一致を見た。現在、Al【(C_2H_5)_3】を含む三元系の結晶成長について実験理論の拡張を行っている。Ti【O_2】微粒子の合成は、Ti【Cl_4】の酸化による高温合成、Ti【(C_3H_7O)_4】の熱分解による低温合成という2つの異なる系を実験し、比較も含めて微粒子生成機構を研究している。生成機構は、基本的には、発生した超微粒子の、相互の衝突、合一であるが、合一確率の条件依存性、反応壁の触媒作用、生成粒子表面での反応などが、衝突合一モデルからのずれの原因となり、しばしば理論的予測とは著しい差異を生ずることを明らかにした。現在、粒子生成初期過程を決定する因子を明らかにすることを試みている。高速成膜法の開発は、超微粒子熱泳動CVDなる新しい高速成膜の概念を提案し、実証に成功した。従来のCVDは、高温に保持された基板上へ気相分子を反応で析出させることを特徴としているが、それでは成膜速度に限界があることに着目し、気相よりも低温に保持し、気相に生成した超微粒子を熱泳動によって基板上に堆積させる方法を試みた。AlN,Ti【O_2】の系に適用し、従来のCVD法に比して100倍程度の成膜速度を得た。二成分系での分布制御に関しては温度分布の制御が重要であることを予測し、均一温度場と瞬間冷却に特徴を有する反応実験の計画を完了し、装置製作に着手した。流動層を用いた新しいCVD法の開発に関しては、高温ガス炉用多層被覆微粒子の製造を目的として、モデル燃料としての【Al_2】【O_3】表面にアモルファスカーボンを均一被覆することに成功した。また、多結晶シリコンの製造を目的として、基本的過程として種シリコンへのCVDに関し、速度と生成シリコンの物性の両面から検討を加えた。
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