研究概要 |
【◯!1】 GP,TMPのNaB【H_4】,【H_2】【O_2】,NaOH処理後の色戻りを知る指標として、"見かけの吸光度"を定義し、その差スペクトルを求めることで、NaOH処理により生成するλmax=420nmの着色団はNaB【H_4】前処理で防除し得ること、NaB【H_4】-【H_2】【O_2】処理で残留する400〜500nmの着色団とこれに近い紫外部の着色団除去がメカニカルパルプ漂白のポイントであることを示した。 【◯!2】 4種の新物質を含む12種のβ-O-4-エーテル型リグニンモデル2量体を合成し、これらのニトロベンゼン酸化によるバニリン収率の推移を、木粉・GP・TMPからのそれと比較した。モデルではP-OHがエーテル型で、α-カルボニルないしβ-O-4コニフェリルアルデヒドエーテルなどの酸化型構造であれば、バニリン収率が増加し、α-カルビノールないしβ-O-4コニフェリルアルコールエーテルなどの還元型であれば減少することを見出した。またGPリグニンからのバニリン収率は木粉に比べて高いが、NaB【H_4】処理で減少することから、GPリグニンは上記酸化型を多く含むと考えた。 【◯!3】 木粉・TMPからのMWL収率は等しいが、TMPでは半減しそのMWLの一部に高分子化を認めた。逆にCEL(セルラーゼ処理磨砕リグニン)の収率は木粉>TMP>GPとなるが、GP-CELのα-カルボニル、共役カルボニルは木粉・TMPのそれより高く、前項GPリグニンを酸化型とする考えを支持した。これについてはMWL,CELの収率の均一化,PMR,CMRなどによる性状の定量化などが進行中である。 【◯!4】 P-OHフリーのグアヤシルグリセロールβ-O-4グアヤシルエーテルのPF【I】ミル処理でα-カルボニルが生成するが、P-O-エーテル型では殆ど検出されなかった。従って上記【◯!2】に記した2種のP-Oエーテル酸化型のうち、GPリグニンに重要な型をβ-O-4コニフェリルアルデヒド型と推定し、この観点からコニフェリルアルコールエーテルのPF【I】ミル処理を進めている。
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