本課題研究の初年度に購入したNMRスペクトロメーターは十二分にその偉力を発揮し、かって得られたことのない程の精確な立体構造情報を巨大蛋白質にもたらす新しいストララジーが徐々に具体化しつつある。このストララジーの中粒をなす、主鉛カルボニル炭末の【^(13)C】-NMRシグナルの個別的規則と一義的帰属は過去一ケ年間に急速に進展した。この大発展は関連した課題で同時進行しつつある試験研究、特定研究にささえられるところが多い。特に我々がDEALS法と名づけた蛋白質の動的ゆうぎ構造とアミド交換速度との関連を明らかにする研究方法は極めて重大な発見であり、その一部を既にBiochenistry誌上で明らかにし、またドイツ(86年9月)における生体系磁気共鳴の国際会議における招待講演、本会一月の京都における日米セミナーでの招待講演で詳述した。本法の詳細については、未だ多くの研究の余地があり、特にアミド交換速度の各部位の相関性(correlated exchange)について初めて明解な結論が得られるものと大いに期待している。 また、均一に【^(15)N】化したアミノ酸培地を利用して、各部位のペプチド結合のJCN(スピン結合定数)を精確に測定する方法を本年度において確立したので、JCNと二次講造との関連についても明解な結論が得られることと思われる。
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