研究概要 |
1.トノサマガエル類のアルビノについて、遺伝子座の異なる5群(a,b,c,d,e)のうち、aおよびeに所属する対立遺伝子系統について、それぞれの遺伝的特徴を明らかにした。また、背面の真皮性色素細胞の微細構造を電顕によって観察し、5群8系統の違いを明確にするとともに、ドーパ反応によってチロシナーゼ活性の有無を調べた。黒色素胞の培養については、正常およびアルビノの系統の若干について成功した。 2.シュレーゲルアオガエルを用い、背面皮膚における黒色素胞がカエルの成長にともなって次第に退化し、それに代わる紫色素胞が、黒色素胞の位置まで移動してきた黄色素胞から発達してくる経過を電顕によって詳しく観察した。また、このカエルのアルビノについて、これが単一劣性遺伝子によって支配されることを確かめ、黒色素胞が発生の最初から全く形成されないことを明らかにした。 3.アマガエル、シュレーゲルアオガエル、ツチガエルで発見された黒色眼について、それらが各単一劣性遺伝子によって支配されることを確かめ、またそれぞれの皮膚および眼球にある色素細胞の微細構造を明らかにした。 4.鳥取県と茨城県で発見された2匹の青色アマガエルおよび新潟県で発見された暗色および白色のトノサマガエルの色彩変異について、それぞれの皮膚構造を電顕によって調べた。その結果、青色変異は黄色素胞の発達不良によって起こること、暗色および白色変異については、色素細胞の退化によることを明らかにして、特に後者についてはウイルスの関与を推定することができた。 5.トノサマガエル、ニホンアカガエル、ツチガエルで正常個体と色彩突然変異体との間で前後キメラを作成した結果、色素細胞が前方から後方に向って突起を出し、次第に移動することを確かめた。
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