研究課題/領域番号 |
60440004
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
茅野 春雄 北海道大学, 低温科学研究, 教授 (00012253)
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研究分担者 |
矢沢 道生 北海道大学, 理学部, 講師 (50101134)
高橋 信興威 北海道大学, 農学部, 助教授 (40001432)
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キーワード | 昆虫血液 / トノサマバッタ / 長距離飛行 / ソポホリン / アディポキネテイックホルモン / ジグリセリド / アポーIII |
研究概要 |
この研究の主要の目的は、昆虫の長距離飛行の分子的メカニズムを解明することである。トノサマバッタにペプチドホルモンの一種、アディポキネティックホルモン(AKH)を注射すると、リポホリンによる脂肪体からのジグリセリドの積み込みが増大し、その結果、リポホリンの密度が低下し、サイズが大きくなる。さらに、分子量約2万のアポリポホリンーIII(アポーIII)が新たにリポホリンに結合する。この生体内で観察されたリポホリンに対するAKHの作用を生体外で再現させることは、AKHの作用を解明する上に、必須の研究である。本研究はこのために計画された。そのために、昨年度まで、精製されたリポホリン、アポーIII、を試験管内で、脂肪体とインキュベートするという手法を用いて、この再現を試みたが、生体内で観察されたAKHの作用を完全に再現させることはできなかった。 しかし、本年度(最終年度)の研究によって漸くこのAKHのリポホリンに対する作用を生体外で完全に再現する系を確立することができた。この系にはカルシウムイオンが必須なこと、インキュベーション中酸素を供給すること、リポホリン1分子に、最底9分子のアポーIIIを加えることが必要な條件であることなどが明かとなった。この実験系が確立したことによって、今後、アポーIIIとの役割り、リポホリンとアポーIIIの結合比とジグリセリドの積み込み量との関係、アポIIIをもたぬ昆虫(たとえば、ゴキブリ)などを用いて、昆虫の長距離飛行とアポーIIIの存在・不存在との関係なども検証することが可能となった。
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