研究概要 |
筋発生過程での筋蛋白質の収縮構造への集合を以下の点で調べた。 1.アクチンフィラメントの形成について:発生途上の幼若な骨格筋におけるアクチンの重合度(Gアクチン-Fアクチンの量比)をDNaseI阻害法により測定した。若い鶏胚ではGアクチン濃度はほぼ1mg/ml程度もあり、精製アクチンの重合の臨界濃度(約0.05mg/ml)よりはるかに高かった。このことから、幼若筋ではアクチンの重合が抑制されていること、更にミオシン存在下では重合が促されることも明らかになった(J.Biochem.99巻3号,1986)、 幼若筋からアクチンに結合している重合阻害因子をDNaseIカラムを用いて単離することを試み、MW2万の因子他数種を分離し、機能を調べている。 2.トロポニンT(TNT)のアイソフォーム変換:鶏胚骨格筋では心筋のI型TNTが発現され、ヒヨコ骨格筋では親にはみられない多数のTNTアイソフォームが明らかになった。 3.C蛋白質の発現と収縮構造形成:胚及び培養筋で発現されるC蛋白質のタイプを免疫化学的手法と電気泳動法により明らかにした(Zool.Sci.2巻6号.1985)(J.Biochem.99巻4号.1986)、いずれの場合でも心筋型アイソフォーム→遅筋型アイソフォーム→速筋アイソフォームの転換パターンがみられた。C蛋白質とミオシンとの結合を妨げるモノクローン抗体の作成を試み、この目的に適するクローンFc-20を得た。 4.胚型ミオシン軽鎖の解明:鶏胚に特徴的なミオシン軽鎖(【L_(23)】)が、胚の時期には平滑筋,心筋,骨格筋に共通に発現されることを明らかにした(J.Cell.Biol.100巻.1985)、この軽鎖はリン酸化、カルシウム結合能のないことを明らかにした。【L_(23)】のcDNAプローブを作成し他のミオシン連鎖との関連性を比較検討した(鍋島博士と共同研究)。
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