研究概要 |
1.筋原線維形成時に働くアクチン重合調節因子:DNase 1の活性阻害法により、筋中のアクチンの重合度を測定したところ、成熟筋では臨界濃度程度のモノマーアクチンしかないのに、 の幼若筋で高濃度のモノマーアクチンがあり、アクチンの重合が抑制されていることがわかった。そこで、DNase 1アフィニティーカラムを用いて幼若筋より非重合性モノマーアクチンを分離しそこに結合している蛋白質を高塩濃度溶液により溶出し、ハイドロキシルアパタイト,ゲルろ過などの組合わせにより2種の蛋白質(各々の分子量に基づいて、19K,および20K蛋白質と呼ぶ)を精製した。これらの蛋白質は親の筋にはほとんど見出されなかった。両蛋白質とも試験管内でもモノマーアクチンに結合し、20K蛋白質はさらに、アクチンフィラメントにも結合した。両者とも、アクチンの重合に顕著な影響を及ぼした。即ち19K蛋白質はその濃度に依存してアクチンの重合度を抑制し、アクチンフィラメントを断片化しモノマー方向へ移行させるなど、ウニ卵に知られるデパクチンと類似性をもつ。一方、20K蛋白質は、ほ乳類非筋組織で見出されたコフィリンに類似してpH依存的なアクチンフィラメントの崩壊,アクチンフィラメントへのトロポミオシンの結合阻害,アクチンフィラメントの構造変化などを引起した。 2.培養筋細胞の伸長と細胞骨格の関連:アクチン,中間径フィラメント,微小管が培養筋管細胞の伸長にどのように関わっているかを知るために、それらの細胞内及び伸長端での局在を免疫組織化学的手法で調べた。その結果微小管の重要性が明らかになった。 3.胚型ミオシン軽鎖(【L_(23)】)と収縮構造形式:【L_(23)】に特異的なモノクローン抗体を作成し、免疫細胞学的に検討した。その結果、この蛋白質は培養骨格筋,心筋,平滑筋細胞のいずれでも発現され、平滑筋では顕著な線維構造を形成しているのが認められた。
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