研究概要 |
1.イネ葉緑体DNAの物理地図:物理地図を作製し、光合成に関するRubiscoの大サブユニット、ATPaseのα、βサブユニット、チトクロームf、光化学系【II】の32KDタンパクなどの位置を決定した。 2.イネ葉緑体DNAのgene bank:イネ葉緑体DNAのBam Hl,Pstl,Hind lllの断片をプラスミドpBR322およびpUC8にクローニングした。これを用いてRubiscoの大サブユニット、ATPaseのβサブユニット遺伝子の塩基配列を調べている。現在までの結果ではおなじ単子葉植物であるトーモロコシの遺伝子の塩基配列と非常に類似していることが明らかになっている。 3.葉緑体突然変異体の選抜:イネおよびタバコの突然変異体のうち葉緑体DNAによる変異を選抜するため、相反交雑を行なった。 4.イネ属植物の葉緑体DNAの制限酵素による分析:A,B,BC,C,CD,Eの各ゲノムを有するイネ属植物の葉緑体DNAをBam Hlで切断し、アガロース電気泳動を行ない分析した。その結果、B,C植物は区別できないがBC植物とは異なっていること、CD植物には種内変異があるがどちらもC植物とは異なっていること、CD植物の葉緑体DNAはA植物のそれと非常に似ていること、E植物の葉緑体DNAは他のイネ属植物のそれと非常に異なっていることなどが明らかになった。 5.細胞融合による雑種カルスの葉緑体DNAの分析:細胞融合により葉緑体DNAの組換えが起きた場合の検出法を確立するため、N.gosseiとN.langsdorffiiの葉緑体DNAを4塩基認識の制限酵素で切断し、N.tabacum葉緑体DNAにほぼ90°離れて位置するBam-1,Bam-2,Bam-3,Bam-4断片をプローブとしてサザンハイブリダイゼーションをおこなった。この結果、組換えが検出出来ることは確認されたが、実際の融合による雑種植物では組換えが起こっていなかった。
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