研究課題/領域番号 |
60440016
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西沢 敏 東北大学, 農学部, 教授 (30001572)
|
研究分担者 |
佐々木 洋 東北大学, 農学部, 教務職員 (10183378)
藤田 直二 東北大学, 農学部, 助手 (10005639)
中村 恵江 東北大学, 農学部, 助手 (10005613)
谷口 旭 東北大学, 農学部, 助教授 (30002091)
|
キーワード | 粒状有機物鉛直輸送 / 橈脚類の日周摂食リズム / 絶食による摂食機能の回復 |
研究概要 |
今年度夏季に東大海洋研〓青丸に便乗して三陸沖暖水塊縁辺部にセジメントトラップをモアリングの,一ヶ月後に東大海洋研白鳳丸によって成功裏に揚収することができた. 一ヶ月間に12ヶのトラップサンプルを同一地点500mの深度において得ることができた. 目下試料の分析が進行中であるが,暖水塊縁辺部の表層における高い基礎生産が動物の摂食活動を介して下方深層に輸送される状況が把握されるものと期待される. 昨年度同じく白鳳丸上でベーリング海で行った沖合性大型橈脚類の摂食の日周期性の研究が今年度一応完結した.これと併行して女川湾の沿岸性槿をついて対象とした同様の研究も完了したので両者を併せて橈脚類の摂食のリズムについて総括的な考察が行ないうるようになった. それによれば橈脚類は昼間絶食して夜間は連続的に摂食するという旧来の考え方は正確なものとは言いえない. 橈脚類は夜間においてもしばしば絶食して自ら空腹状態をつくりだし数時間後に再び活発な摂食を開始する.したがって摂食のリズムは必ずしも昼夜のリズムに合致するものではなく夜明けから午前にかけて活発な摂食が行なはれることもある.この力動的なリズムは大型の沖合種においては特に顕著でこれらの動物は日没と共に摂食を開始するが2時間後には摂食を停止又は抑制して3ー4時間後には殆ど空胃に近い状態となり夜間後期又は日出時に再び活発な摂食をする.注目すべきことは絶食後の摂食量は異常に高くなるからこのようなリズムを活用することによって動物の日間摂食量はむしろ増大することである.このような摂食のリズムは他に報告がないので我々はこのような生態の適応的意味について考察を進めている.
|