研究課題/領域番号 |
60440016
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
谷口 旭 東北大学, 農学部, 教授 (30002091)
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研究分担者 |
佐々木 洋 東北大学, 農学部, 教務職員 (10183378)
藤田 直二 東北大学, 農学部, 助手 (10005639)
中村 恵江 東北大学, 農学部, 助手 (10005613)
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キーワード | 女川湾 / 繊毛虫プランクトン / 混合栄養者 / 螢光検鏡 |
研究概要 |
今年度は本研究計画の最終年度に当たるので、過去三年度間に入手した資料のとりまとめに重点をおいた。その外に、近年発見されたばかりで研究者間で話題になっている混合栄養繊毛虫プランクトンについて,その分布の特性を我国で始めて研究した。前述のとりまとめの結果は別添報告書(冊子)に詳しく示してあるので、以下には新たな研究成果の概要を示す。 女川湾口から湾奥にかけての縦断線上の測点において7月(9点)、10月(4点)、12月(4点)に有光層内4ー6層から試水を採集した。試水中の繊毛虫プランクトンはUtermohl法により検鏡し、種の同定と個体数計数を行なった。このとき螢光検鏡を併行することによって、クロロフィル特有の赤い自螢光の有無によって、混合栄養者(螢光を発す)と従属栄養者とを識別した。7月の結果を例に挙げると、水温構造が成層状態にあったのに応じて植物プランクトンの分布の中心は有光層内に限られ、特に湾奥表層に集中していた。この状態は夏季には極く普通に観察される。このとき繊毛虫プランクトンは、どんな種も湾内全体に広く出現するものの、パッチ状に分布するその中心は、種によって異なる測点の異なる水深に分れていた。植物プランクトンを摂食する従属栄養の繊毛虫の分布は植物の分布と概して一致するが、自からも光合成する混合栄表の繊毛虫の分布の中心は有光層底部に見られた。これらのことは繊毛虫が微弱な運動力を使って、各種毎に至適な水深に集中分布する能動的な力を有していることを示していよう。
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