生鮮産物の貯蔵寿命に大きな影響をおよぼす庫内空気の温度、湿度、組成および流速とその分布を高精度に制御する方法について検討した。 1. 流速制御システム 差圧通風方式の冷蔵倉庫内の空間の大きさと貯蔵産物との容積比が冷却効果と圧力損失におよぼす影響について風量に対する圧力損失を求めた結果、圧力損失が最も小さくなるのは空間比が最大(1:2.4)と最小(1:0.2)の場合に生じる傾向があり、また、圧送方式が吸込方式より抵抗が少ないことが明らかになった。 2. 産物表面の結露防止システム 貯蔵産物の結露の主たる原因は、高湿度下における温度変動であると考え、購入した解析・制御システムを用いて、一定湿度下において温度を変化させて、産物の結露状態を観察し、水分量の算出を試みた。 3. 湿度制御システム 貯蔵産物の品質維持に関する高湿度の影響を明らかにするとともに、低温下における高湿度維持技術を確立するために、低温、高湿度下における小型環境創造装置自体の温度・湿度に対する安定性を解析・制御システムを用いて算出し、装置自体の安定性は良好との見通しを得た。低温度下における高湿度の検出に電気抵抗式湿度計を使用しているが、90%RH以上においてはかなり不安定であり、空気組成が異なると、この方式では、信頼性の高い数値が得られない等の問題が生じ、湿度センサーを開発する必要がある。 4. 目減り機講の解明 産物の物理的、生物的特性と目減りの関係を調べるとともに、庫内空気と産物間の水蒸気圧差及び冷気流速と産物水分の蒸気速度との関係を理論と実験の両面から究明した。 5. 庫内空気組成の検知と制御システム 小型環境創造装置および炭酸ガス発生装置を用い、庫内空気の組成の変化が農産物の品質に与える影響を調べた。並行して産物の呼出するガス成分も分析した。
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