研究概要 |
生鮮農産物の貯蔵寿命に大きな影響を及ぼす庫内空気の温度,湿度,組成および流速とその分布を高精度に制御する方法を昨年度より検討中である。 本年度は、画像処理装置および空気組成を分析する計器を導入することにより、産物表面に結露する機構および庫内空気組成を制御するシステムの開発および貯蔵試験を行った。 1.産物表面の結露生成機構および結露発生シミュレーション 貯蔵産物の結露の生成機構を明らかにする目的で、電子冷凍実験装置を設計製作し、実体顕微鏡上で結露を生じさせ、結露の発生過程を顕微鏡モニタ装置でビデオに集録した。現在、画像処理装置で分析中である。また庫内空気温度の変動に伴い、材料表面に結露が生じる庫内温度、その変動幅および絶対湿度を、コンピュータシミュレーションで算出したところ、相対湿度98%以上では結露する場合がある結果を得た。 2.低温高湿度制御 予措したカボスを低温高湿度下で長期貯蔵してもカボスの風味を失うことなく貯蔵が可能であることが明らかになった。 3.目減り機構の解明とその防止システム 温州ミカンの果皮の部分を抜取り、果皮部(表皮,アルベド,果梗)の水分の移動を測定した。水分移動速度が最も大きい部分は果梗部で、アルベド部の水分移動は極めて遅いことが明らかになった。 4.庫内空気組成の検知と制御システム 小型環境創造装置と炭酸ガス発生装置を用いて、生鮮農産物内部の空気組成と鮮度との関係を求めた。CA貯蔵下で、産物内部空気は庫内空気組成に近づくが、産物によってはその傾向を示さない結果を得た。 今後は、低温高湿度制御が可能な新技術(スーパーフレッシュ方式等)の開発も試みる。
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