研究概要 |
生鮮農産物の貯蔵寿命に大きな影響をおよぼす庫内空気の温度, 湿度, 組成および流速とその分布を高精度に制御する方法に関して, 産物表面の結露機構, 貯蔵中の目減りの解明および庫内空気組成の制御システムの開発を行なった. 1.産物表面の結露生成機構および結露発生シミュレーション 電子冷凍実験装置を用いて試料の上に結露を生じさせ, これを実体顕微鏡で観察した. その結露の発生機構を(1)顕微鏡モニタ装置によるビデオ集録, (2)温度センサーによる温度変化の追跡, (3)赤外線センサーによる反射エネルギの変化の追跡等を併行して調べた. その結果, 温度センサーは試料表面温度が露点付近になると変動しながら低下する現象を, 赤外線センサーは材料表面付近の空気が高湿度になると急速に反射エネルギの低下が生じる現象を示すことが明かになった. 従ってこの変化した前後のビデオ映像を画像処理することにより結露の発生機構を明かにすることが可能となった. 2.低温高湿度制御 ジャケット式貯蔵庫に温・湿度センサーを組み込み換気用ファン(吸入, 吐き出し, 循環)のみにより設定温・湿度度となるように, パソコンで温度・湿度を管理し, ファンをコントロールする安価な高湿度維持システムを開発中である. 3.目減り機構の解明とその防止システム キウイフルーツを高湿度貯蔵庫内に, 温度および風速を変えて, 目減り減少を追跡した. 温度による差は認められず, 風速には若干差が認められた. 4.庫内空気組成の検知と制御システム PID方式のガスクロの導入し, CA貯蔵した青果物の内部空気組成を求めた. ピーマンでは内部空気も酸素の減少, 炭酸ガスの増加が認められた. 果肉部の空気の採取困難なイチゴに対しては, 定容積密閉容器で圧潰して果肉空気を採取する簡便法を考案し, 空気組成の概略値を求めた.
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