研究分担者 |
森 誠 静岡大学, 農学部, 助教授 (90143411)
酒井 仙吉 東京大学, 農学部, 助教授 (80114487)
山内 一也 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30072888)
光岡 知足 東京大学, 農学部, 教授 (30157549)
河本 馨 東京大学, 農学部, 教授 (30011894)
SAWASAKI Toru Fac. Agric., Univ. Tokyo, Assoc. Prof. (00012047)
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研究概要 |
動物の初期胚に外来遺伝子を導入して, その動物の生殖機殖や免疫機能を調べることを目的として, メタロチオネィン遺伝子の制御領域とヒト成長ホルモンの構造遺伝子を連結して, マウスの前核期卵に顕微鏡下で注入し, トランスジェニックマウスを作り, またその胎児の発生状況を観察した. 染色体への遺伝子の組みこみは成功し, 出生したマウスの1個体はヒト成長ホルモン遺伝子を約150コピー直列に組みこんでいることが, ドットブロット法, サザンブロット法により確認された. さらに, トランスジェニックマウスを物質合成系として用いるために, マウス44Kカゼインと乳清の酸性蛋白質のCDNAをクローニングした. また, マウス体外培養卵の2細胞期での発生停止を核移植法により調べたところ, 従来示唆されていた卵管因子の関与のほかに, これによって起こる細胞質の変化が重要な意義をもっていることが示唆された. 一方, 免疫や栄養の実験に用いるため, ヒト腸内細菌を無菌マウスに接種し, ヒトと同様の腸内細菌叢をもつマウスを作りことを試みたが, ほぼヒトと同じ腸内細菌叢をもったノトバイオートマウスを作ることに成功した. 今回はこのようなトランスジェニックマウスやノトバイオートマウスを実験に供するには至らなかったが, 生殖系機能や免疫系の研究もそれ自体として十分の成果をあげた. まず, プロラクチンのレセプターを精製し, そのモノクローナル抗体を作った. この抗体を用いて調べたところ, プロラクチンのレセプターは2種類存在することが示唆された. また, 黄体におけるプロラクチンの作用は20αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの活性の制御にあると考えられるが, この酵素を部分精製した. さらに, プロラクチンの作用がマクロファージを介して発現されることが示唆された. 今後はトランスジェニックマウスを蛋白質合成系として利用することが考えられる.
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