研究概要 |
画像解析の具体的な応用として、現在二つの方向の研究を進行させている。一つは一次情報を扱い、形態をどのように処理解析するかを考える。例として、頭蓋の縫合を曲線としてあらわし、これを解析して、そこに見られる規則性を発見しようとする。結果の一部はすでに解剖学会関東地方会で発表ずみである。縫合のフラクタルを調べてみると、年令による変化は比較的少く、ある範囲におさまる。矢状縫合については、ヒトでは前,中,後部を分けることができ、その間のパタンは異なる。さらに、各種哺乳業について、縫合パタンの解析を進めている。 もう一つの例は、ソシャク筋系の生後発達を、胎生期の発達と比較し、量的関係を明らかにするものである。この筋系は、他の筋系とは明瞭に異なった発達パタンを示し、生後、すなわち「使用」による発達が極端に著明である。連続切片から、関連する筋の体積を算出し、相対成長を見るだめの方式を構成している。 二つめの方向は、二次情報の整理である。現在多数の解剖図が存在しているが、その整理はまったく不充分で、整理の方式の見本すら考えられていない。そのため、東京大学所蔵のワルダイエル文庫をはじめとして、解剖図を集め、概念構成、技法、歴史的背景の面から解析を進めている。同時に、これらの図をデータベースとするための処理方式、機械の開発について、研究が進行中である。
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