研究課題/領域番号 |
60440025
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
志賀 潔 熊本大, 医学部, 教授 (40028527)
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研究分担者 |
東城 博雅 大阪大学, 医学部, 助手 (90135707)
脇田 良彬 熊本大学, 医学部, 助手 (80040179)
二科 安三 熊本大学, 医学部, 助教授 (50112553)
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キーワード | フラビン蛋白 / フラビン / ビタミン【B_2】 / アミン酸酸化酵素 / 分子集合形成機構 / 酸化還元酵素 / アミノ酸 |
研究概要 |
D-アミノ酸酸化酵素(DAO)の反応中間体として紫色中間体が存在するが、これは還元型DAOとイミノ酸との複合体である事を既に報告している。従って本蛋白における分子集合形成の機構を明らかにするためには、還元型DAOとリガンドとの相互作用について研究する事が必要となる。そこでリガンドとしてピコリン酸およびニコチン酸を用い、これらと還元型DAOとの間の平衡定数および速度定数(結合速度定数および解離速度定数)を求め、そのpH依存性を検討した。 上記の各種定数をpH6からpH8.3の範囲で決定した。その結果、還元型DAOとこれらのリガンドの反応は2次-1次反応である事が明らかとなった。またこのpH範囲において、結合に関与する解離基はただ1つのみであり、この解離基はリガンドにおけるチッソ原子(プロトンの脱着)である事が判明した。そしてプロトンの付加したリガンド(カチオン型)のみが還元型DAOと結合でき、プロトンの解離したもの(ニュートラル型)は結合できない。これは、酸化型DAOにはニュートラル型リガンドも結合しうるという事実(Massey等による)と異った知見であり以下の分子集合形成機構を強く示唆するものである。 即、酸化型DAOにおいては活性中心に含まれるフラビンは電気的に中性であり、還元型DAOのフラビンは電気的に陰性である。還元型DAOにおいてはフラビン分子の負電荷とリガンドの正電荷との間の静電相互作用が分子集合形成に重要な機構を与えているものと思われる。 なお本年度はDAOの構造をNMR法により研究する前段階としてアルブミンの分子構造についても少々の研究を行っている。
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