研究概要 |
快・不快情動行動下ラットおよびサルの扁桃体,視床下部ニューロンの活動,自律反応およびこれらニューロン活動と自律反応への下側頭皮質,扁桃体または腹側被蓋野の冷却または麻酔の影響および快・不快情動関連ニューロンへの種々のカテコールアミンやコリン作動性薬物の作用を調べた。 【I】.ラットでは、1)扁桃体の基底外側核および皮質内側核のそれぞれ報酬への促進性および抑制性応答ニューロン,2)基底外側核の報酬および罰予告音への応答と無意味な音への応答の慣れを示すニューロン,3)視床下部外側野の報酬と罰に逆方向の応答を示すニューロン,4)これら報酬および罰応答ニューロンの報酬または罰予告音への可塑性応答,5)予告音への可塑性応答の扁桃体または腹側被蓋野局所麻酔による減弱または消失,6)報酬予告音応答のスピペロン,アトロピンまたはナロキソンによる減弱または消失,7)音弁別学習行動下ラットにおける報酬および罰予告音に対する血圧の上昇,【II】.サルでは、1)扁桃体の視覚,聴覚,味覚(または嗅覚)のいずれか一つに応答する単一感覚種応答型,すべてに応答する多感覚種応答型および報酬性または嫌悪性の意味をもつ特定の物体や音の一つだけに応答する選択応答型ニューロン,2)下側頭皮質冷却による扁桃体ニューロンの食物呈示への選択的応答性の消失と摂食期応答の持続,3)視床下部外側野の報酬と罰およびそれぞれを意味する視覚刺激への識別性条件づけ応答獲得、すなわち正と負の強化を識別する学習ニューロン,条件づけ応答獲得と情動行動発現との有意の相関,4)扁桃体冷却による視床下部外側野ニューロンの食物呈示期応答の消失および摂食期応答の減弱などを明らかにできた。 以上から扁桃体は感覚と情動の連合による快・不快情動の発現に、視床下部外側野は情動行動の発現と強化および自律反応の発現に重要であることをニューロンレベルで明らかにできた。
|