研究分担者 |
堤 寛 東海大学, 医学部・病理学, 講師 (80138643)
守内 哲也 東海大学, 医学部・細胞生物学, 講師 (20174394)
横山 清七 東海大学, 医学部・外科学, 助教授 (50096278)
松崎 松平 東海大学, 医学部・内科学, 助教授 (40110902)
長村 義之 東海大学, 医学部・病理学, 助教授 (10100992)
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研究概要 |
60年, 61年度の本研究を通して, 肝細胞マクロファージ(Mφ)など種々の細胞で発生する脂質過酸化によりGSH-POの蛋白合成促進がもたらされることが判明したが, この事実を基盤として, ヒト及び家兎大動脈に発生した, 粥状硬化巣について以下の実験と観察を行った. 当研究室で, ヒト赤血球より抽出, 精製されたhuman glutathione peroxidase(H・GSH-PO)に対する抗体を家兎で作製し, 本抗体が動脈壁のH・GSH-POと特異的反応を示すことを"Western bloting"などによって証明した後, これを用いて正常から高度の粥状硬化症に至るまで種々の程度の動脈硬化性病変(50例)におけるH・GSH-PO局在の酵素抗体法による観察を行った. その結果, 粥状硬化病変の中枢を成す増生, 蓄積した泡沫細胞(マクロファージ=Mφと変性内膜平滑筋細胞=SMCよりなる)に顕著なGSH-POの増強を認めた. また, ラット腹腔Mφにアラキドン酸カスチードの活性化を主体として脂質過酸化の増強をもたらすことにより, 同細胞に顕著なGSH-POの増強が招末されたことから, 上記泡沫細胞のGSH-PO増強も, 同細胞における脂質過酸化増強に基くものと推定された. これらヒト粥状硬化巣に見られた泡沫細胞の変化の出現の経時的変化を観察すべく, 家兎に高コレステロール食(オリエンタル酵母社製)を与え, それぞれ, 2, 4, 8, 16週における動脈粥状硬化巣の免疫細胞化学的観察(抗家兎GSH-PO抗体を用いた酵素抗体法)を行った. その結果, 2週間目には内皮細胞直下に少数のMφ由来の泡沫細胞が出現し, これにGSH-PO局在を認めた. また8週以降, 内膜に増生して来る変性SMCとその泡沫細胞にもGSH-POの著名な局在を認め, 粥状硬化巣発現における脂質過酸化関与が強調された.
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