研究概要 |
60年に得られた結果を、大きく発展させた。 1.金属結合物質に関する研究 (1) クロム結合物質:精製された低分子結合物質をクロム急性中毒ラットに投与し、急性中毒軽減作用のあることを明らかにした。また、牛乳より精製したクロム結合物質の一分画にのみ、インスリン作用増強作用のあることを明らかにした。結合物質は、一つはグリシン,グルタミン,シスチンを中心とする有機体であり、一つはリン酸ナトリウム錯体であることも明らかにした。 (2) ニッケル結合物質:ニッケル投与肝より、分子量900で、グリシン,グルタミン,シスチンを主体とするアミノ酸結合物 であることを明らかにした。精製された結合物質に過剰のニッケルを加えると、飽和状態までニッケルを結合することが分り、そのときの結合比は1分子あたりニッケル一原子であった。今後その機能や意義について研究する。 2.金属発癌に関する研究 BALB-3T3細胞の培養に成功し、ニッケル添加によるトランスフォーメーション実験に着手した。無機および結合ニッケル添加では50μgNi/ml 濃度で細胞は全て死滅する。ニッケル濃度5μg/mlでは、無機物添加時のコロニー形成率は5%であったが、結合物質結合ニッケル5μg/mlでは、形成率は20%であり、結合物質に結合することにより、ニッケルの毒性の減弱がみられることが明らかとなった。トランスフォーメーション実験は開始したところである。 3.有機スズの発癌抑制に関する研究 in vitroでは【10^(-5)】モルで悪性細胞の増強を抑制すること、担癌動物でも量により抗癌作用を示すことが明らかとなった。
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