研究概要 |
ビタミンD結合蛋白(Gc蛋白)は、有用な遺伝標識として法医学的人類遺伝学的に大いに利用されており、ビタミンDとの結合やアクチンの会合解離への関与など生理学的にも重要な蛋白であるが、その蛋白質化学的な研究はあまり行われていない。その基礎となる一次構造を明らかにする目的で、次の手順に従って実験を行った。各個人のGc亜型を等電点電気泳動で判別して、Gc1F,1S,2の各亜型に属する血清を別個に塩析、Blue-Sepharose,DEAE-Sepharose,Sephadex G-75の各クロマトを順に行って、各Gc蛋白を分離精製した。この精製法は、当研究室で新たに開発したものである。このGc蛋白のS-S結合を完全還元アルキル化してから、BrCN分解を行った。これを高速液体クロマト(HPLC)の分子ふるいクロマトによって、各々4つのピークを得た。個々のピークについてHPLC-逆相クロマト(C8)によって、更にBrCNペプチドを分離精製した。各ピークについてアミノ酸分析を行い、各亜型間でその組成に差のあるものを探した。その結果、5個のBrCNペプチドを見いだし、現在それらについてトリプシン消化を行い、HPLC-逆相クロマト(ODS)によるトリプシンペプチドの分離精製を行っている。なお、各Gc亜型間で差異の認められるアミノ酸は、BrCNペプチドのアミノ酸分析結果から、アスパラギン酸,グルタミン酸,スレオニン,セリン,グリシン,リジン,アルギニンであった。
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