研究分担者 |
山田 貞子 鳥取大学, 医学部, 教務員 (40150362)
加藤 誠一 鳥取大学, 医学部附属病院, 助手 (10185845)
村脇 義和 鳥取大学, 医学部, 助手 (90144659)
堀江 裕 鳥取大学, 医学部, 助手 (60144648)
周防 武昭 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (90108811)
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研究概要 |
慢性肝疾患, とくに肝硬変においては, 窒素出納が負に傾いているが, この理由は主として全身的な窒素代謝機能の障害によるのもである. 今回対照4例ならびに肝硬変患者8例に15Nグリシンを10mg/kg経口投与し, 3日間排泄される尿を採取し, 尿中尿素ならびにアンモニア中への15NをGC/MSにて測定し, waterlowの理論に基づき, 全身蛋白代謝量を算出した. 対照例における全身蛋白合成量ならびに分解量はそれぞれ, 3.30±0.13, 2.83±0.18(g/LBM kg/日)であり, 食餌蛋白量の変動にもかかわらずこの値はほぼ一定していた. 代償性肝硬変(4例)では, ほぼ同様な成績がえられた. 非代償性肝硬変(4例)では, 低蛋白食餌条件下で測定したが, 全身蛋白合成量ならびに分解量はそれぞれ4.68±1.12, 4.54±1.12(g/LBM kg/日)といずれも亢進しており, 非代償性肝硬変では食餌蛋白量に対するhomeostasisが障害されている成績が得られた. 一般に前回までのわれわれの成績によると, 肝硬変とくに重症肝硬変では肝において生成される分泌蛋白を除き, 組織蛋白, とくに筋蛋白の分解は亢進しているが今回の成績により肝不全においては組織蛋白の異常代謝が確認され, その結果窒素代謝が負に傾くものと考えられた. この正確な理由は不明であるが, おそらく肝不全時のホルモン代謝異常によるアミノ酸, 蛋白代謝異常や, 肝を中心とするアミノ酸, 尿素代謝異常などに基づくものと考えられる. 現在さらに15Nアンモニアを用い研究を続けている.
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