研究概要 |
気管支喘息患者の病態の特徴である気道過敏性の機序を解明するため、本年度私共は非即時型気道アレルギーモデル、および気道ウイルス感染モデルを作成した。次いで、これら動物モデルにみられる気道過敏性が如何なる機序によって惹起されるかを、1)気管支壁の細胞浸潤、2)化学伝遠物質の生成、3)自律神経系の異常、4)平滑筋それ自身の収縮性、の4つの観点から解明することを目標とした。 【I】) 非即時型アレルギー反応モデルでの検討:モルモットをアスカリス抗原で感作後、この抗原を吸入させると、即時型気道反応にひきつづいて非即時型気道収縮反応が認められた。この非即時型反応の際の肺組織像では、気管支壁内には著明な好酸球浸潤が認められ、それに応じて気管支の収縮像が認められた(発表【◯!1】)。この時期の肺組織像を明らかにし得たのは世界ではじめてである。この際の呼吸機能の記録には、補助金による1)「ポリグラフー式」を用いた。これら組織変化に対応する化学伝達物質の分析については、現在ひきつづき検討している。 【II】)気道ウイルス感染モデルでの検討:ビーグル犬に人にも感染するC型インフルエンザウイルスの接種を行うと1〜3週で気道過敏性の亢進が認められた。この際の肺組織像では気道上古の剥離,脱落,クララ細胞の分泌過多像が認められた。また気管支肺胞洗浄液では、肥満細胞の有意な増加、ヒスタミン濃度の上昇が認められた(発表【◯!2】)。この際の犬の呼吸抵抗の解析には2)「呼吸抵抗分析装置一式」を用いた。さらに慢性実験のため3)「ブロンコファイバースコープ」を用い、また細菌感染を避けるため使用器具は4)「オートクレーブ」にかけ、薬物投与略には5)「ミソポアフィルタ(ポンプ)」を用いた。また持続静汽には6)「インフェージョンポンプ」を用いた。さらに肺の自律神経の役割に関する検討(発表【◯!3】【◯!4】)も成果をみ、喘息患者の呼吸困難時の上気道抵抗変化についても明らかにすることができた(発表【◯!5】)。
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