研究概要 |
(1)MTX-5FU併用療法ではMTXを先行投与した時のみ抗腫瘍効果が増強され、これはMTX投与後のPRPPレベル上昇により5FUのリン酸化が促進されるためであることを発表したが、この併用療法は臨床的にも5FU単独投与より高い有効率を示す一方で、下痢などの副作用も多くロイコボリン投与の是非が問題となっている。本研究ではMTX-5FU併用療法にロイコボリンを後投与した時のFUTP,dTTP,ATP,GTPプールの変化を検討したが、ロイコボリン投与により、ATP,GTPプールの減少は回復したが、FUTP,dTTPプールはロイコボリン投与の影響をうけず、ロイコボリンは抗腫瘍効果を弱めることなく副作用の軽減に役立つものと考えられた。 (2)6MP、6TGの作用機序を解明するため、両薬剤の細胞内活性化代謝産物を多波長検出器を使って測定した。6MPの細胞内活性化代謝産物はThio IMPが大部分で6MPと高濃度長時間培養した時にThio GMPを認めたが、6TGの代謝産物はThio GMP,Thio GDP,Thio GTPであった。このことから6MPはThio IMPによる parine de novo阻害により作用し、6TGはこの作用に加え、DNA,RNAへの組み込みを介し抗腫瘍効果を発揮するものと考えられた。 (3)Li2i0マウス白血病細胞でara-C耐性細胞を樹立し、耐性化機序を検討した。耐性株ではara-C感受性が約1/1000に低下しており、ara-CTP産性能は約1/100に低下していた。感受性株ではCytidine deaminase blackerであるTetra hychouridineの添加により殺細胞効果の増強と細胞内ara-CTPレベルの増加を認めたが、耐性株では殺細胞効果、ara-CTPともにTetrahycho uridineの影響を受けなかった。またこの耐性株のdCTPプールは感受性株の62%に減少していた。これらのことからこの耐性株の耐性化機序はdeoxy cytine kinaseの活性低下であると考えられた。またこの耐性株は3deaza uridineに対し親株以上の感受性を示し、ara-C耐性症例への3DAVの有効性が示唆された。
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