研究概要 |
1.駆動体方式爆薬室の試作: 駆動体方式爆薬室として、ピンハンマー型ならびにカプセル型の2種を作製した。また、先端形状が異なる4種の大型駆動体を作製し、これを2mの高さより落下させることにより、結石破砕効果を検討した。この結果、駆動体の先端形状としては、平坦なものにもっとも破砕効果が認められた。 2.駆動体方式爆薬の選択: アジ化鉛,モノニトロレゾルシン鉛,トリシネートの3種の爆薬を圧力容器内に装填し、爆発時の瞬間ピーク圧を測定し、データレコーダに記録させた。この結果、モノレゾルシン鉛のピーク圧は、アジ化鉛、トリシネートのピーク圧よりも低値を示した。また、アジ化鉛とトリシネートはほぼ同程度のピーク圧を示したが、アジ化鉛は発火点が高く、起爆にはトリシネートを混じる必要があり、トリシネートが爆薬として最適であると思われた。 3.モデル結石の研究: (1)硬性尿管鏡にて尿管走行の観察を施行した結果、上部尿管はほぼ直線的であったが、中部,下部尿管は屈曲しており、駆動体方式爆薬室を臨床応用する際、ある程度の操作性が必要であると思われた。(2)尿管結石ならびに胆石の強度を測定し、その結果をペンレコーダに記録した。両者ともその圧縮強度は低値であり、低強度結石の範疇に入ることがわかった。そしてこの結果に基づいて、実験用モデル結石を作製した。 4.イヌ動物実験による損傷管腔の修復過程のX線的、組織学的研究: 体重10Kg前後の成犬の尿管を露出し、駆動体方式爆薬室により発生すると考えられる損傷を尿管に加え、その修復過程をX線的、組織学的に検討した。その際、清潔操作を必要とするため、高圧蒸気滅菌器ならびに乾熱滅菌器を使用した。この結果、2mm程度の損傷では、尿管は1週間以内に自然修復した。イヌ尿管が3mm前後の太さであることを考えると、駆動体方式程度の傷害は、問題でないと思われた。
|