研究概要 |
実貭臓器悪性腫瘍,特に肝癌などに対する光化学療法PDT(photo-dynamic Therapy)の有効性を当科継代培養中のヒト由来肝細胞癌HCー4を用いて検討し, 以下の結果を得た. 1.in vitro実験: Cr release assayを用い, 光代学療法による細胞障害性を検討した. Heー4細胞にNa_2 ^<51>Cr O_4を取り込ませたのち,A群:HpD(Hemato porphyrin Derivative)非投与,B群:HpD 10gr/ml投与,C群:HpD50gr/ml投与(いずれも培養液内濃度)とし,さらに,X群:ADL(Argon Oye Laser)非照射,Y群:ADL10mW,1min照射,Z群:ADL30mW,1min照射の3群に分け, 0,1,3,5,12,24時間ごとに培養液を採取し, Cr解離率を測定した. その結果,Cr解離率はHpD単独投与群とADL単独照射群との間には有意差を認めなかったが,光化学療法施行群ではHpD50gr/ml投与にADL30mW,1min照射した群(C+Z)が24時間後に最も高い細胞障害性(Cr解離率92.4%)を示した. 以上より,in vitroにおける光化学療法の効果はHpD投与量,およびADL照射量に依存し,またその効果は12時間後より発現し,対照群(HpD非投与,ADL非照射)に対して有意差が認められた. 2.in vivo実験: 背部皮下にHCー4腫瘍を移植した担癌Balb/cヌードマウスを用い,A群:対照,B群:ADL150mW,1min照射,C群:HpD20mg/kg投与,D群:光化学療法施行(B+C)の3群に分け,経日的に増殖腫瘍重量を計測した. その結果, A.B.C群間には有荷差を認めなかったが, D群においては腫瘍は凝固壊死におちいり,全く増殖を認めなかった. 以上の実験結果により,継代培養中のヒト由来肝癌Hcー4に対する光代学療法の有効性が示された.
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