研究課題/領域番号 |
60440064
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
胸部外科学
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
正岡 昭 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (10028326)
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研究分担者 |
山川 洋右 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (40148284)
柴田 和男 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (20145733)
橋本 隆彦 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (00080094)
矢内原 昇 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (80046250)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1988
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キーワード | Serum Thymic Factor / 合成STF / 胸腺 / 胸腺腫 / 胸腺上皮細胞フィブロネクチン / 電子顕微鏡 / 放射免疫測定法 |
研究概要 |
胸腺ホルモンの一種であるSTF(Serum Thymic Factor)について、合成STFを用いた放射免疫測定法(RIA)を確立して、ブタ及びヒトの血漿、胸腺とヒト胸腺腫のSTF含有量と分子存在様式、並びにブタの他臓器におけるSTF存在の有無を検討し、併せて、STF産生細胞との関連をみるため、ヒト胸腺(腫)上皮細胞の形態を電顕的、免疫組織学的に観察した。 電顕的には、胸腺上皮細胞として、髄質に特有な細胞と皮髄共通の細胞が認められ、免疫組織学的には、レクチンのPNA、SBA結合能、抗フィブロネクチン抗体、抗ラミニン抗体に対する反応性に皮質・髄質細胞間で特性の違いがみられたか、STF産生細胞は検出するに至らなかった。 STFは液相法で合成し、家兎を免疫して作製した抗合成STF抗血清は無交差反応性かつ高力価で、これらを用いた本RIA系はSTFに特異的で、最小検出限界が6pg/mlであることを確認した。 6カ月令ブタの検討では、血漿、胸腺、肝、腎、脾のいずれにもSTF様免疫活性がみとめられたが、その分子存在様式は血漿と各組織とで異なっており、前者では分子量約1500の成分が、後者では約7000の大分子を含む成分組成をなし、この大分子型IRーSTFはトリプシン処理により、STF近似の小分子成分に変化した。ヒトでは、血漿STFはブタと異なり殆ど検出不能の微量に過ぎなかったが、胸腺腫、肝、腎、脾では大分子型組成、胸腺では小分子型(STF)・大分子型混合のゲル3過パターンが示された。以上から、STFは胸腺のみならず肝、腎、脾にも大分子型のSTF前駆物質として存在し、STF産生の代謝系が胸腺と他の臓器では異なっているらしいこと、ヒト血中では何らかのSTFキャリアー蛋白が存在して、本RIA系に影響を及ぼしている可能性が想定された。
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