研究概要 |
虚血脳におけるフェニトインと, ビタミンEの遊離脂肪酸(FFA)及びエネルギー代謝に対する影響について検討した. フェニトインは虚血中, FFAの増加と高エネルギー代謝産物の減少を抑制した. 血流再開後のFFAの動態については有意差を認めなかったが, エネルギー代謝回復を促進した. この機序としては, フェニトインは細胞膜安定作用を有しており, 虚血負荷時の細胞内Ca^2増加の抑制による可能性が示唆された. ビタミンEは虚血によるFFAの増加を有意に抑制した. 虚血負荷によるFFAの増加の経路としては, イノシトールリン脂質のフォスフォリパーゼCによる分解と, その他のリン脂質のフォスフォリパーゼAによる脱アシル化が考えられる. しかし, ビタミンEはイノシトールリン脂質の虚血負荷による減少を全く抑制しなかった. そのため, ビタミンEのFFA増加抑制機序としては, フォスフォリパーゼC系よりもフォスフォリパーゼA系が関与していることが, 一つの可能性として示唆された.
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