研究概要 |
くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤や動静脈奇形などの頭蓋内血管異常が存在すると、血流の乱れに起因する微弱な音響信号が発生する。本研究では、このような音を頭皮上に配置した高感度ディテクター群によって検出し、病変の有無,程度,種類,部位等を診断するシステムを構築すべく、基礎となるデータの基礎的検討、分析アルゴリズムの開発,ディテクターの改良,測定システムの試作検討などを行う。 頭蓋内から発生する血流雑音の多くは、200〜2KHzに分布し、しかも、心電R波からの経過時間にしたがって変わる瞬時パワースペクトルの形が血管異常の種類によって異なるものと考えられる。そこで、60年度は、システム構成の礎となるハードウェア部分の設計、構成に重きを置いて検討を行った。 まず、ディテクターの性能向上については、頭部の機械インピーダンスの測定、頭部【←!→】ディテクター間の結合の等価回路表示を行い、良好な特性を得るための設計指針を明らかにし、これに基づいたディテクターの試作を完了した。また、測定の障害となるアーティファクトの混入防止のための吸音材についても検討を行った。 次に、データの記録表示システムについては、血流音の時間波形および心電波形をロールモード表示するとともに、アナログデータの保存、コンピュータへの取り込みについてハードウェア設計、試作を行った。装置の購入手続の一部延滞もあって、ソフトウェアの開発は十分に進んでいないが、診断パラメータの医学的検討の結果もふまえて、61年度にはソフトウェア面でのアルゴリズムの改良に主眼を置き、研究を進めてゆく予定である。
|