研究概要 |
当初予定した立体テレビを開発して, 顕微鏡と連動させ, 立体テレビを見ながら, 顕微鏡レベルで得られた画面による血管縫合を行う事には成功した. つまり径1-3mmの血管縫合であれば, 動物実験でも比較的高い成功率をあげる事が判った. ただより径の細いレベルの血管縫合には, 立体視の画面の視野が暗い, 電子シャッターの内蔵された眼鏡帯の雑音と視野の狭さ等の改良が不可欠であると考えられる. 現在使用されている針付糸の改善に関しては, 糸の先端にメタルコーティングする事に成功し, 動物実験レベルにおいては, 使用に耐え得る事がわかり, 糸のサイズと針のサイズ間の差を少なくする事が可能となった. しかしコーティング部の表面の凹凸が従来のものより大きい事, コーティングした先端のシャープ差が従来のものに若干おとる事が判り, これらの改良の必要性を痛感した. Micro-manipulator(微細外科用ロボット)を用いてヒトが取扱う事の出来る限度を拡大し, 血管縫合に応用する試みに関しては, マニピュレーターの製作を行ない, 実際に手指と連動させる事には成功した. one planeにおける移動方向は比較的スムースであったが, 三次元的な動きは非常に困難であり, ミクロレベルの微細な動きを得て, 血管縫合を施行するまでには至らなかった. CO_2レーザーを立体テレビと組み合せる事には成功し, テレビ画像を見ながらの立体視下にレーザーによる血管縫合は可能となり, 将来的には0.1mm径の血管縫合への期待をいだかせる結果であったが, このレベルの縫合には, 立体テレビの視野の明るさや, マニピュレーダーの精密度を上げる等が不可欠であると思われる.
|