研究概要 |
1.基礎的研究(1)波長628nm、ピーク出力10KWのパルス波を発振する金蒸気レーザー(GVL)照射により組織内ヘマトポルフィリン誘導体(HPD)やその他の色素に高密度励起状態が発生し、photoblenchingによる高い組織深達性がもたらされることを実験動物や培養細胞を用いて分光学的に証明した。(2)GVL照射ではKK-47移植腫瘍内の温度上昇効果が良好で、癌温熱療法としての応用が示唆された。(3)KK-47移植腫瘍におけるGVLとHPDを用いた光化学的抗腫瘍効果(PDT)は腫瘍増殖曲線、腫瘍消失率、消失日数より検討し、アルゴン色素レーザー(ADL)のそれより有意に大であった。(4)高速液体クロマトグラフィを用いたKK-47移植ヌードマウスにおけるHPDの組織内分布を検討し、HPDの主成分であるHp,Hvd,およびPpでは特に腫瘍親和性は認められなかったが、腫瘍ではHp,Hvdに比VPpが長時間残存する傾効にあった。(5)分子量12,000のHPD polymerを含むPBS溶液では溶解直後380nmにピークを有する吸収スペクトルと、625,685nmにピークを有する蛍光スペクトルが認められ、溶解96時間後でも変化は認められず、一方HPDでは経時的変化が認められ、HPDmonomerは時間と共にaggregateすることが推定された。HPDに比しHPDpolymerは早期に培養細胞内に安定結合し、取り込み効率はHPDの7倍であった。(6)ヒト膀胱癌由来T24細胞に対するモノクローナル抗体を作製し、外科的材料を用いて膀胱癌に対する免疫学的時異性を検討中である。(7)【V_2】carcinomaを象兎膀胱壁内に移植し、HPD静注48時間後に新しく開発した方法によりADLを膀胱壁全照射し組織学的に検討した。正常粘膜への影響が少なく、かつ抗腫瘍効果を期待するには10-20J/【Cm^2】の光照射が適当と考えられた。 2.臨床研究 GVLを用いたforalPDTを4症例、腫瘍径2cm以下の15腫瘍に施行した。100J/【cm^2】以下の照射光量にて全例にCRが得られ、9.1カ月の平均期間で再発を認めていない。
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