研究概要 |
細菌線毛は腸管感染症や尿路感染症において、菌の定着因子としての意義が明らかにされつつある。そこで、細菌線毛の尿路感染症における意義を調べる目的で、各種尿路感染症患者より得られた大腸菌,シトロバクター,クレブジエラ,セラチア,プロテウス,プロビデンシア等の菌種について、赤血球凝集反応により、線毛保有率と線毛の分類を行なった。 1)大腸菌について:急性膀胱炎,複雑性腎盂腎炎,膀胱炎および腸管利用尿路変更術後患者尿より74株の大腸菌を分離した。ヒト・ウシ・ニワトリ・サル・モルモット赤血球に対する凝集性を検討し、いずれかの赤血球に対して凝集性を有するものは38株(51%)であり、マンノースに対する反応を加えて検討した結果、8種類の凝集パターンのある事が見出された。また、尿路変更術後患者尿より得られた菌で最も凝集反応腸性率が高く、急性膀胱炎,複雑性膀胱炎,慢性腎盂腎炎では同程度であった。マンノース耐性の凝集反応は急性膀胱炎が最も高頻度で、次いで複雑性腎盂腎炎,尿路変更術後,複雑性膀胱炎の順であった。 2)その他の菌について:大腸菌以外の菌種ではセラチア、クレブジエラでは赤血球凝集陽性率が高かったが、シトロバクターでは低く、プロテウス、プロビデンシアでは極めて低かった。
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