研究課題/領域番号 |
60440076
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
熊澤 淨一 九大, 医学部, 教授 (60038669)
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研究分担者 |
尾形 信雄 九州大学, 医学部, 助手 (90185497)
松本 哲朗 九州大学, 医学部, 講師 (50150420)
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キーワード | 尿路感染症 / 線毛 / 好中球機能 / 赤血球凝集反応 / 定着因子 / 抗線毛抗体 |
研究概要 |
1.尿路感染起炎菌(グラム陰性桿菌)からの線毛成分の分離・精製:大腸菌を用いて線毛を分離・精製し電顕的に線毛成分であることを確認した。多くの菌株を用いて集める必要があり、現在進行中である。 2.線毛成分の尿路感染症に及ぼす病原的意義の解明:臨床より分離した尿路感染起炎大腸菌74株を用いて各種動物赤血球の凝集パターンの解析を行なった。その結果、腸管感染の大腸菌に高率にみられるウシ赤血球の凝集がゼロであった。又腸管利用の尿路変向術症例からの大腸菌の高率に凝集反応がみられた。このことは定着因子(線毛)の違いによるものであろう。 3.線毛を中心とする菌側病原因子に対する生体側尿路感染防御因子の作用に関する研究:線毛のリセプターを有する尿中粘液物質、上皮細胞を除いた感染防御の細胞性因子の代表として好中球をとり上げた。塩化ナトリウム,尿素を用い各滲透圧条件を作り、好中球機能として活性酸素産生(スーパーオキサイド)の程度をみた。その結果、高滲透圧下では活性酸素産生が低値を示したが、同一滲透圧下においても用いた2種の物質で差がみとめられた。 4.上記の2及び3は一部62年度の研究とも関係してくるが、今後の研究においても、尿路感染成立初期における線毛を中心とした各種菌側病原因子と生体側防御因子との相互作用を明らかにするため、動物実験モデルの作成と平行してin vitroの系での解析も進めていく予定である。
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