研究概要 |
胎児発育には母体、胎盤、胎児の各因子が関与し、その総合的解析が必要である。本研究では胎児発育に関する多項目につき、以下の成績が得られた。 1)超音波断層診断装置による推定児体重の計算プログラムを開発、作製し、7種の体重推定方法についての精度評価を行った。 2)妊娠中期の妊婦においてFetoscopyを施行し、子宮内胎児の視診および胎児採血による胎児異常の診断が可能であることが示された。 3)超音波pulse doppler法により、胎児臍帯静脈血流量と血管抵抗を測定し、IuGRでは正常群に比して低血流量、かつ血管抵抗の増加が認められ、この傾向は妊娠中毒症のあるIuGRで著明であった。この成績より臍帯血流量の変化はIuGRの成因および発現過程に密接に関与することが示された。 4)IuGR発症と密接に関係する妊娠中毒症において、凝固線溶系の鋭敏な指標であるFPA,FPBβ,および血管系線溶能の指標であるIPAを測定した。その結果、妊娠中毒症では発症の初期病態において凝固線溶亢進状態で、かつ血管系機能はその能力の限界にあった。 5)母体、臍帯血、羊水中の各種ホルモンの測定は、ACTH、甲状腺ホルモンは市販キットにて測定、ステロイドホルモンはHPLCを用いた測定系を開発中である。 6)Growth factorおよびそのレセプターの測定はEGF,IGF-IのRIAを開発中である。 7)新生児発育、小児発達follow up studyのため、病歴情報を分娩、新生児、乳児検診に3大別し、そのリレーショナルデータベースを構成した。このシステムの運用により、母体、胎児、新生児、小児に至る一貫した情報が得られ、正確で詳細なfollow up studyが可能となった。
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