研究分担者 |
山口 規容子 東京女子医科大学, 母子総合医療センター, 教授 (90075292)
岩下 光利 東京女子医科大学, 母子総合医療センター, 講師 (30124936)
中林 正雄 東京女子医科大学, 母子総合医療センター, 助教授 (70114585)
井口 登美子 東京女子医科大学, 産婦人科, 教授 (60075314)
武田 佳彦 東京女子医科大学, 産婦人科, 教授 (00033069)
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研究概要 |
胎児発育には, 母体, 胎盤, 胎児の各因子が関与し, その総合的解析が必要である. 本研究では多項目について研究し, 以下の成績を得た. 1)超音波断層診断装置による推定児体重の計算プログラムを開発, 作製し, 7種の体重測定法についての精度評価を行い, 臨床応用している. 2)超音波pulse doppler法により, IUGRでは正常に比して臍帯血流は, 低血流量, かつ血管抵抗の増加が認められ, この傾向は妊娠中毒症のあるIUGRで著明であった. この成績より臍帯血液量の変化はIUGRの成因に密接に関与することが示された. 3)妊娠中毒症では, 母体の血液凝固線溶系が凝固優位の状態にあることが示され, かつ血管内皮細胞の凝固抑制機能も低下していることが明らかとなりこのため胎児, 胎盤系の微少循環障害がひきおこされ, IUGRが発症することが示された. 4)妊娠24〜36週における母体血中IGF-1が胎児発育と密接な関係にあることが示された. 5)Growth factor及びそのレセプターの測定は, EGF,IGF-1のRIAが確立された 6)新生児発育, 小児発達follow up studyのため, 病歴情報を分娩, 新生児, 乳児検診に3大別し, この総合的運用により母体, 胎児, 新生児, 小児に至る一貫した情報が得られ, 正確で詳細なfollow upが可能となった. 以上より, 本研究により胎児発育には母体循環動態(血液凝固線溶系を含む)胎児胎盤微少循環動態Growth Hormoneが密接に関与することが明らかとなった. これら各因子の障害により, IUGRとなった児の長期予後は精神, 神経学的発達障害を高率に発症することが明らかとなり, IUGRの早期診断と胎内管理の重要性が示された.
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